ノーダウンタイムアップデート
バリデーターノードのダウンタイムを最小限に抑えることは、 Solana ネットワークの安定性を維持する上で非常に重要です。 Solv v4 では、ダウンタイムなしでノードを移行できる新しいコマンドが導入されました。
2024 年 8 月現在、solv switch コマンドが追加され、 さらに使いやすくなりました。従来の solv change コマンドは solv switch に置き換えられ、今後廃止される予定です。
solv change では、移行前後の両方のノードでコマンドを実行する必要がありましたが、 solv switch では片方のノードでのコマンド実行のみでノードの移行が完了します。
このノーダウンタイム移行機能は、日々のアップデート作業だけでなく、 バリデータースコアを高く保ち、信頼性を向上させるためにも重要です。 それにより、Solana ネットワークの安定性にも貢献できます。
また、バリデーターノードの移動においても、 戦略的または緊急の状況でもダウンタイムなく移行が可能となり、 バリデーターの運用をより安定させることができます。
Solv Switch コマンドの活用方法
solv switch
コマンドは、バリデーターノードのノーダウンタイム移行をサポートするための重要なコマンドです。
このコマンドを実行する前に、移行元と移行先のノードが正常に稼働していることを必ず確認してください。
solv switch
コマンドには、次の 2 つのモードがあります。
- Incoming: 移行元のノードから移行先のノードへの切り替え
- Outgoing: 移行先のノードから移行元のノードへの切り替え
これらのモードを使い分けることで、ノードの移行をスムーズに行うことができます。
本ドキュメントでは、一般的な Solana のバージョンアップ手順を例に挙げ、次の流れを説明します。
- Inactive ノードから
solv switch
の Incoming モードを実行します。 - Solana のバージョンを更新し、再起動します。
- Active になったノードから Outgoing モードを実行して、元の状態に戻します。
solv switch
コマンドは、アクティブノードとスペアノードの切り替え、
バリデーターノードの引っ越し、Solana バージョンのアップデートなど、
様々なシナリオで活用することができます。
事前準備
移行元のノードと移行先のノードが正常に稼働していることを確認してください。 投票を行っている移行元を Active、まだ投票を行っていない移行先を Inactive として説明します。
solv switch コマンドを使って移行するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- solv v4 以降 で起動したソラナバリデーターノードであること
- solv catchup で最新のブロックに追いついていること
- SSH 接続が移行元(Active)から移行先(Inactive)へ可能であること(Outgoing の場合)
- SSH 接続が移行先(Inactive)から移行元(Active)へ可能であること(Incoming の場合)
以下、1台のノードがすでに稼働中で、2台目のノードを新たに立ち上げる場合の手順を説明します。
SSH 接続の設定 (Inactive ノード)
鍵を Active ノードからダウンロードして、新規ノードに設定します。
まずは SSH キーを移行先のノードに設定します。
$ solv scp init Generating public/private rsa key pair. Enter file in which to save the key (/home/solv/.ssh/id_rsa): Created directory '/home/solv/.ssh'. Enter passphrase (empty for no passphrase): Enter same passphrase again: Your identification has been saved in /home/solv/.ssh/id_rsa Your public key has been saved in /home/solv/.ssh/id_rsa.pub
そして SSH 公開鍵を表示します。
$ solv scp cat
表示された内容をコピーしておきます。
鍵の移行 (Active ノード)
次に、Active ノードに接続して、SSH 公開鍵を移行先ノードに追加します。
$ solv scp create ? Enter your SSH Public Key (xxxxxxxpubkeyxxxxxxxx)
さきほどコピーした公開鍵を貼り付けます。
新規ノードの立ち上げ (Inactive ノード)
次に、Active ノードから鍵をダウンロードするために、 移行先ノードに接続して、以下のコマンドを実行します。
$ solv scp download ? Enter your Ubuntu Server IP x.x.x.x ✔︎ Downloading mainnet-validator-keypair.json ✔︎ Downloading mainnet-vote-account-keypair.json ✔︎ Downloading mainnet-authority-keypair.json
それでは移行先で新規ノードを立ち上げます。
$ solv setup
ログを確認して、正常に立ち上がっていることを確認してください。
$ solv log
そして、新規ノードが最新のブロックに追いつくまで待ちます。
$ solv monitor
この待ち時間はネットワーク状況によりますが、通常は数時間かかります。 コンピューターのスペックが低かったり、ネットワークが不安定な場合は、 追いつかない場合があります。その場合は、再度ネットワークやスペックを確認してください。
また、以下のコマンドで、スナップショットのダウンロードをやり直すことができます。 起動がうまくいっていない場合は、スナップショットのダウンロードをやり直してください。
$ solv restart --rm
それでは以降の手順に進みます。
solv switch コマンドの実行 (Inactive ノード)
solv switch の Incoming モードを実行します。
$ solv switch ? Which switch type do you want to perform?※Mainnet Only (Use arrow keys) ❯ Incoming Outgoing ? What is the IP address of the new validator? (1.1.1.1)
Active ノードの IP アドレスを入力します。
無事に Inactive ノードが Active ノードに切り替わりました!
Solana バージョンの更新、再起動
solv switch 後、Active から Inactive へ切り替わったノードの Solana バージョンが最新でない場合は、 以下のコマンドで Solana バージョンを更新し、再起動します。
$ solv update && solv update -b
これで、ノードの Solana バージョンが最新に更新され、再起動されます。 手動でバージョンを更新する場合は、以下のコマンドを実行してください。
$ solv update --config $ solv i
このコマンドは、Solana バージョンを最新に更新しますが、再起動は行いません。
Slot が最新の状態になるまで待ちます。
$ solv catchup
最新の Slot に追いついたら、再び先ほどのノードに戻り、solv switch
の Outgoing
モードを実行します。
solv switch コマンドの実行 (Active ノード)
solv switch の Outgoing モードを実行します。
$ solv switch ? Which switch type do you want to perform?※Mainnet Only (Use arrow keys) Incoming ❯ Outgoing ? What is the IP address of the new validator? (1.1.1.1)
Inactive ノードの IP アドレスを入力します。
無事に Active ノードが Inactive ノードに切り替わりました!
これでスペアサーバーを削除しても問題ありません。